新潟市文化財センター(新潟市西区)にて展示されている、千年前の高足駄をご紹介します。
新潟市南区の馬場屋敷古墳にて発掘された下駄(高足駄)の復刻作業を当工房にて行いました。
新潟市には700以上もの遺跡が点在しており、その大部分が郊外の秋葉区、南区、西蒲区に集中していて、 木製の道具類(農機具や田下駄など)が完全に腐食せず、原型の多くを残した状態で多数発見されています。
写真の高足駄は、およそ900年~1000年程前の遺跡から出土したものを元に、新たに復刻作業を行いました。
文化財センターからいただいた復元図等の資料を基に、
まずはサンプルとして、加工しやすい桐台に杉の足を付けたものを製作。
実際の出土品は詳しい鑑定の結果、台部分が朴(ほお)の木、足部分が杉の木ということで、新たに材料を用意し同様の手順で製作しました。
1000年近く、原型をある程度残したまま地面の中にずっと埋もれていたというのは大変な驚きです。
発掘された遺跡の所在地が湿地であったことで、逆に腐食が進まなかったのでは、というお話でした。
どのような用途で使用されていたのかは諸説あります。
縄文~弥生時代の遺跡からは[田下駄]といわれる農機具としての下駄がいくつも発見されており、水辺や田畑での利用、積雪時の利用など日常生活の中で使用されていたのではないかという説、
あるいは平安・鎌倉時代の書物には高下駄を履く身分の高い者の姿がよく描かれていて、儀式などの礼装具として使用されていた可能性もあります。
いずれにせよ、多くの出土数から、新潟にはかつてこのような高下駄を製造する職人が多数いたのではないでしょうか。
文化財センターでの展示。
縄文時代から古墳時代の発掘品の現物や復刻品が多数展示されています。
18世紀前半につくられた旧武田家住宅(新潟市指定有形民俗文化財)。文化財センターの敷地内にて保存されており、内部は自由に見学出来ます。